会報24号釧路石炭火力発電所親会社、民事再生法を申請か
釧路全日空ホテルの運営会社の広瀬弘忠社長は「地球温暖化が加速するなか、釧路の自然環境を守ることは地元企業としての責務だ」として、来夏をめどにホテルの全電力を再生エネルギーでまかなう体制を取ることを表明されました。市内に太陽光発電所を建設するとのことです。
国内の大手商社(住友商事、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、丸紅)は、(釧路コールマインが炭鉱研修生を受け入れている国)コロンビア、オーストラリアなど海外に持つ発電用燃料に使う「一般炭」の炭鉱権益を相次いで手放し、脱炭素の姿勢を鮮明にしました。
IPCC(Intergovernment Panel on Climate Cange、気候変動に関する政府間パネル)は、8月9日に行われた第54回総会に於いて、「温暖化」は人間活動が原因だと断定し、極端な豪雨や熱波、干ばつが増えていることはこのことが原因だと指摘しました。
改めて温室効果ガス排出をゼロにする「脱炭素社会」の実現に本気で取り組むことの重要性が
示されました。
このような中、月刊誌「選択」によりますと、釧路石炭火力発電所の親会社ID Iインフラストラクチャーズの内部では、石炭で発電した「売れない電気」をめぐり、石炭火力発電に投資した大和証券と大和ハウスの間で、醜い骨肉の争いをしているとのことです。大和証券、大和ハウスとも福島原発事故のあと、電気代の高騰につられて石炭火力発電に投資してしまいました。
現在、IDIインフラストラクチャーズの社長は大和証券の荒木秀輝常務取締役が就いています。
ID Iインフラストラクチャーズは釧路の他に、福岡県北九州市で響灘石炭火力発電所も運営しています。釧路もそうですが、現在、石炭で発電した電気は割高になり、CO2を大量に排出することで敬遠され、事業として成り立たない状況に陥っています。
釧路石炭火力発電所と経営者が同じこの響灘石炭火力発電所は、発電した電気の引き取り先がなく、早晩、破綻すると言われています。
ID Iインフラストラクチャーズは、これに対して窮余の策として、「民事再生法」の申請を模索しているとのことです。
「民事再生法」が適用された場合、釧路石炭火力発電所も、発電所を建設したJFEエンジニアリングに対して80億円の債務があります。当然、この債務も帳消しとなるでしょう。そうなると、JFEエンジニアリングの技術的な支援を受けられなくなり、発電所の運営は非常に厳しい状況に陥ります。
このような状況下で、先々、釧路石炭火力発電所が健全な運営を行なっていけるとはとても思えません。
もう脱炭素社会の進展に抗うことはできません、CO2を大量に排出する石炭火力発電所は今すぐに停止し、新たな進路を模索する時期に来ています。
●釧路石炭火力発電所の署名に是非ご協力ください●
【署名】火力発電所の稼働停止を求める署名〜釧路地域のより良い環境を残すために〜
異常気象の増加など、気候変動がわたしたちの暮らしを脅かしています。気候変動の大きな原因となるのが、CO2を大量に排出する石炭火力発電所。気候変動を防ぐため、世界では石炭火力を廃止する動きが進んでいます。
そんな中、釧路では大和証券が株主になっているIDIインフラストラクチャーズが昨年の12月より火力発電所を稼働させています。石炭火力発電所は、CO2だけでなく大気汚染物質や温排水も大量に排出され、人々の健康や自然環境への悪影響が心配されます。
現在、IDIインフラストラクチャーズに対して、釧路石炭火力発電所の停止を求める署名を集めています。釧路地域と地球の、子供たちの未来を守るため、署名に是非ご協力ください。
◯石炭火力は気候変動を加速させ、大気汚染を引き起こす元凶
釧路石炭火力発電所は、釧路市興津一丁目にて石炭火力発電所、出力11.2万Kwを稼働させています。しかし、石炭火力発電所の稼働は、大気汚染物質を排出し、長期間に渡って大量の二酸化炭素(CO2)を排出することになり、気候変動問題をさらに加速させることにつながります。気候変動対策のために世界が約束した「パリ協定」の目標達成には、日本でも石炭火力の削減が必要です。世界では、イギリス、フランス、カナダなどが遅くとも2030年までには石炭火力発電所の廃止を示すなど、「脱石炭火力」の動きが広がっています。
年間51.2万トンものCO2を排出する釧路石炭火力発電所の稼働は「パリ協定」の削減目標達成から大きく逸脱し、世界から大きな非難の目を向けられることになるでしょう。
◯優先すべきは地球環境と住民の健康
現在、国民の節電努力、省エネ技術の向上によって電力需要が減少し、自然エネルギーの普及もあって電力は充足しています。石炭を燃料とするこの事業は、国内の電力需要を考慮しても必要ないことは明らかです。大量のCO2を排出し、水銀などの重金属、PM2.5、大気汚染物質による地域住民の健康被害のリスクを高めることは許されません。最新の研究によればPM2.5による健康被害はここまでは大丈夫という閾値(いきち)がなく、基準値以下でも生命にかかわる健康リスクがあると指摘されています。石炭のように”気候変動を起こす電源”ではなく、太陽光や風力など環境によりやさしい持続可能で”クリーンな自然エネルギー”が求められています。
昨今の様々な情勢から、国内ではこの2年で、4ヶ所(全7基)で石炭火力発電所の建設計画が中止されました。株式会社IDIインフラストラクチャーズ、株式会社釧路石炭火力発電所に対して社会的使命、責任として、地球環境の維持、住民の健康を優先的に考慮し、釧路石炭火力発電所の稼働の停止の決断をしていただけるよう強く要望します。
株式会社IDIインフラストラクチャーズ
代表取締役社長 荒木 秀輝 様
株式会社釧路石炭火力発電所
社 長 黒田 利也 様
株式会社釧路石炭火力発電所
所 長 本村 隆弘 様
氏 名 | 住 所 |
https://nocoal-kushiro.jp/wp-content/uploads/2021/10/釧路会報24号完成版.pdf