釧路火力発電所運営主体の大株主である大和証券に質問書を送りました
釧路火力発電所を考える会では、11月25日付で釧路火力発電所の運営主体であるIDIインフラストラクチャーズの大株主である大和証券と、株主のみずほ証券およびみずほフィナンシャルグループに対して以下の質問書を送付しました。今後、先方からのご回答をお待ちしたいと思います。
みずほ証券およびみずほフィナンシャルグループ宛のレター(PDF)
株式会社大和証券グループ本社 執行取締役社長 中田 誠司 様
釧路火力発電所を考える会
代表 野瀬 義昭
釧路火力発電所に関する質問書
拝啓 向寒の候、貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。貴社における日頃の環境問題へのご対応には敬意を表しております。
さて、私どもは釧路市で計画されている石炭火力発電所建設について活動する市民団体です。この度、釧路火力発電所の運営主体であるIDIインフラストラクチャーズの大株主であり、先般同社代表取締役に役員を派遣された貴社に釧路火力発電所をめぐる現状をお伝えするととともに、その対応についてお伺いしたくこの書面をお送りしております。
ご承知のとおり、釧路火力発電所は2015年10月に計画が浮上し、当初は今年はじめには稼働すると予定でしたが、建設工事中にトラブルが続き試運転の開始が遅れ、4月に入ってからの試運転を開始、11月1日から本格稼働するとしていました。さらに試運転中にもトラブルが発生し、いまだ稼働はしていません。私たちは、この発電所は大きく三つの問題があると考えています。
第一に、試運転中に周辺住民が夜も安眠できないほどの騒音や振動が絶え間なく続いた問題です。本格稼働した場合にこの騒音や振動がなくなることは約束されておらず、近隣住民が非常に不安をかかえています。また、石炭の運搬で一日70台もの10トントラックが発電所と貯炭場の間を往来することが想定されますが、この車両による騒音もひどく、住民の不安が増幅しています。近隣に住む住民にとって完全に迷惑施設になっていると指摘せざるを得ません。
第二に、非常に高い濃度で硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が排出され、しかも煙突が非常に低いため、悪影響が発生する可能性が高いのではないかという懸念です。釧路市との公害防止協定の値は信じられないほど緩高く、その排出基準値は他地域との比較でみても高いことが明らかです。しかも、発電所の説明では公害防止のための設備はつけられていないということで、住民の健康など全く配慮されていないのではないかとの不信感しかありません。
第三に、気候変動を加速するCO2を大量に排出するということです。気候変動問題を重視する御社に改めて言うまでもありませんが、気候危機への対応で世界では「脱石炭」が主流化しており、日本政府も今年10月26日、菅首相の所信表明演説で、2050年温室効果ガス排出をゼロにするとの宣言とともに石炭火力政策を抜本的に転換すると宣言されました。これから新たに新規石炭火力を稼働することは、「パリ協定」の定める1.5℃目標にも不整合が生じます。
そこで、御社に裏面の質問をさせていただきます。何卒ご回答いただきますようよろしくお願い申し上げます。なお、ご回答については、当方のWEBサイトに掲載させていただく予定です。
敬具
質 問
- 釧路火力発電所において、上述したような、試運転時の騒音・振動や、石炭運搬トラックの往来による騒音などで周辺住民からの苦情があることはご存じでしたでしょうか。また、発電所側は現時点では騒音防止の対策をとろうとしていませんが、貴社はその対応は適切だとお考えでしょうか。
- 政府は今年7月、「非効率石炭火力のフェードアウト」を示し、2030年までに国内の非効率石炭火力はできる限りゼロにしていくことを目指して審議会での検討が行われているところです。釧路火力発電所の設備は亜臨界圧(Sub-C)で、いわゆる「非効率石炭火力」に該当すると考えていますが、貴社ではどのようにお考えでしょうか。
- 貴社は、以前、東洋経済新報社が2019年4月から5月に実施した「脱炭素化アンケート」で、石炭火力発電所について、「電力の安定供給のために今後も必要」と回答されています。世界的に脱炭素・脱石炭の流れが加速するなか、そのお考えに変わりはないでしょうか。もし、お考えに変わりがない場合、貴社のSDGs推進アクションプラン “Passion for SDGs”における位置づけについて、教えていただけますでしょうか。
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