会報第11号発行:釧路火力は公害対策不十分

釧路火力は公害対策不十分
国国は非効率石炭火力を
2030年までにフェードアウトする方針

 釧路火力発電所は6月19日から試運転が実施されました。この試運転中に大きな騒音が発生。6月23日には煙突からの煙も止まり、発電所は一時停止されたようです。その後、7月10日より試運転が再開されたものの、煙突の煙は見られず、本格的な試運転には至っていないようです。
 現在、発電所上部より蒸気が上がっているのが見え、本番運転時には140気圧にもなる主蒸気菅内の蒸気を逃がしているのではないかと思われます。高圧の蒸気の吹き出す音が響き渡っています。試運転が再開された翌日には、主蒸気管の蒸気を逃がしているバルブを閉止して、高圧の蒸気を復水器に入れたようです。この復水器で使う水は、通常海水を使用するケースが多いのですが、この発電所では、雨水、炭鉱の噴出水、一般排水を毎日約300トンを使います。先日、近隣住民から出た異臭の苦情は、この雨水等を使うことにより発生したものと思います。そもそも、この重要な設備の復水器の使用する大量の水を雨水などに頼ることなど、どれだけの甘い考えで設置されたのかとの証と思います。
 この施設は、公害対策においても非常に甘い設計になっています。通常であれば必ず設置する排煙脱硝装置と排煙脱硝装置も設置されていないのです。このような、公害を発生させる可能性の高いインフラを設置、設計する際は最良設置基準と言う思想を持ち、その時期に置ける最高の機器類の設置をすることを当然のこととして行うことになって設計を行います。設計を教える学舎では、設計値の安全基準を嫌と言うほど叩き込まれます。
 この思想なしでの建設は大変危険で、公害を発生させる結果になってしまいます。脱硫・脱硝装置等の配置は法律で義務化されている訳ではありません。しかし、周辺住民の健康や安全を考えれば、設計、設置する者は道徳的に考えても当然行うべきです釧路石炭火力発電所とは何度も話し合いましたが、残念ながら、そこのところの思想が欠如していると言わざるを得ません。
 7月3日、経済産業大臣は、「非効率石炭火力をフェードアウトする」との方針を打ち出しました。釧路火力発電所は亜臨界圧(Sub-C)という「非効率石炭火力」に区分されるものです。2020年から新たに稼働するといっても、すでにフェードアウトの対象になるような古いタイプの発電所なのです。今後、考える会では釧路火力発電所に設備の問題を追求していきたいと思いますのでぜひ応援をよろしくお願いします。

釧路火力発電所を考える会会報 第11号