会報第17号発行:もう地球には住めなくなる!? 気候崩壊目前 対策は待ったなし
もう地球には住めくなる⁉
気候崩壊目前 対策は待ったなし
コロナウイルスの脅威は衰えることがなく激烈です。それに比べて地球温暖化の危機は緩慢でまだ目立っておりません。
しかし、気候変動は長期的にはコロナウイルスに匹敵する脅威をもたらすと多くの科学者が指摘しています。
日本政府は先月、「グリーン成長戦略」を発表しました。異常気象や温暖化への対応を経済成長の制約、コストとせずに、経済成長の機会にする「経済と環境の好循環」を目指すとのことです。
釧路市も、平成17年に制定された「釧路市環境基本条例」において、地域の自然環境や生活環境を良好なものとするとともに、環境への負荷を増大させている現在の経済社会構造のあり方や生活様式を見直し、かけがいのない地球に生きるものの一員としての自覚の下に地球環境の保全に貢献していかなければならない。と条例中で謳っています。
この条例にもとづく、釧路市環境基本計画について市は現在改正作業をしており、案では二酸化炭素排出削減目標を2030年には2013年度比26%減としています。これは排出量で554,000トンの削減になります。
ところが、昨年12月4日に商業運転を開始した釧路石炭火力発電所は年間512,000トンの二酸化炭素を排出します。
これでは、釧路市民が努力して省エネ、二酸化炭素削減に取り組んでいることが台無しになってしまいます。
現在、世界中で脱石炭が進むとともに、石炭で発電した電気は使わない、購入しないという人々の意識改革も起きています。
日本経済新聞の報道によれば、ある新電力が、釧路火力発電所の出資会社であるIDIインフラストラクチャーズから19年に10年間の固定契約を持ちかけられたが、イメージが悪いと断った、といいます。
グローバリゼーションが進展した現在、持続可能な社会を作り出すためには石炭が敬遠されるのは当然の帰結です。
釧路コールマインは二酸化炭素の回収、貯留を始めるとしていますが、この技術は不確かな上、コストが著しく高い、すなわち経済合理性はありません。気候変動、温暖化がますます進むなか、2030年の排出削減には程遠い計画で、手遅れと言わざるを得ません。
大洋に面し、自然に恵まれた釧路市は、最初に記した政府の進める「グリーン成長戦略」に計画されている自然エネルギーに根ざした事業を推し進めるのが本来の道なのではないでしょうか。
政府は洋上風力発電所を推し進めると発表しています。
大洋に面している釧路市はこれも選択肢にはいるのではないでしょうか。
自然エネルギー事業で雇用を作り出し、起こした電気を地元で使い、利益を地元に落とす。本当の意味での地産地消になるのではないでしょうか。
世界で進むダイベストメント
釧路の156名の炭鉱労働者たちの公正な移行を
気候変動を回避するため、欧米諸国を中心に、温室効果ガスを大量に出す石炭火力発電所の廃止が急激に進んでいます。その背景には、機関投資家たちが、石炭関連産業の投資を引き揚げるダイベストメント(投資引き揚げ)を加速化させていることがあります。
かつて日本の産業をささえた炭鉱労働者はピーク時で460,000人にものぼりました。しかし基幹エネルギーが石油へと取ってかわり、炭鉱が次々と閉山に追い込まれていきました。閉山は1982年から、北炭夕張新鉱、三井砂川、北炭真谷地、三菱南大夕張、三井芦別、住友赤平と進み、1995年3月に空知地域最後の炭鉱、歌志内空知炭鉱が閉鉱なり、現在残る炭鉱労働者は釧路コールマインの156人だけです。
資源エネルギー政策は、国内のみに目を向けていると時代の趨勢に乗り遅れます。日本は温暖化政策では、世界において完全に出遅れています。
世界からの強い圧力がもう目の前に迫って来ています。
もう石炭を燃やす時代ではないのは明白です。今現在、釧路炭鉱で石炭を掘っている従業員の方々も時代はもう終わっていると自覚して働いています。
このような情勢を考慮するならば、石炭に代わる産業を考え出すのは当然のことではないでしょうか。
釧路コールマインは、令和元年に北海道産炭地振興センターの「新産業創造等事業~基金を活用しての助成事業」の助成金を石炭生産システム構築に費やしたようですが、地域振興策を策定した方が、、釧路コールマインの156名の従業員の方々に真に安定した雇用の場を提供できたのではないでしょうか。(なお助成金額は釧路パワーサービス㈱の事業と合わせ10億6,000万円)
地球温暖化、異常気象が年々深刻になっていくのが明々白々な現在、近々、石炭を燃やす産業が撤退に追い込まれるのは必至のことです。
この156名の従業員の方々のためにも、一刻も早く石炭に代わる自然エネルギーなどクリーンな産業に移行することが賢明な道です。
掘り出したとされる膨大な石炭はどこにある?
釧路コールマインは市民に対してしっかり説明を!
釧路コールマインの松本裕之専務取締役は講演会で、釧路炭鉱は連続掘削機械コンティニュアスマイナーで一日1,000トン程度の石炭を掘り出すことが出来ると発言されました。釧路炭鉱では、この4月から10月で15万8,000トンの石炭を掘り出したことになっています。10トンの大型トラック15,800台分です。しかし、それだけのトラックが走っている様子を目にしたことがありません。
火力発電所の本格的な稼働が始まっていなかったなかで、消費出来ないこれだけの石炭をどこに保管しているのでしょうか。
かつては炭鉱列車があり何万トンもの石炭を釧路南埠頭に運びそこから、日本各地に石炭を運搬していました。今はもう釧路の石炭は使われなくなり、それに伴い炭鉱列車は消えてしまいました。
現在では、釧路南埠頭では、船で運ばれた石炭を降ろしている風景を頻繁に目にしますし、釧路西港区にも大規模な貯炭場がありますが、ここも船で運ばれた石炭を運んできて降ろしています。おそらく日本製紙、王子製紙で使う石炭です。
現在、国内の石炭火力発電所や産業用石炭はほとんど例外なく海外炭です。釧路の日本製紙、王子製紙の事業所も例外ではないでしょう。
それでは、釧路コールマインが掘り出した石炭は、どこに保管されているのでしょうか。
消防法において、火災が発生した場合、火災が拡大しやすく、消火の活動が著しく困難となる指定可燃物として規定されています。石炭については、「貯蔵及び取り扱いの技術上の基準として、石炭・木炭類、10000Kg(10t)、石炭・木炭類には、コークス、粉状の石炭が水に懸濁しているもの、豆炭、練炭、石油コークス、活性炭及びこれらに類するものを含む」とされています。石炭は長期間同じ場所に保管していると、内部に熱を持ち発火、爆発する危険があるためです。
万が一、このような事態が起きた場合、釧路市民は非常に大変な危険にさらされることになります。
釧路火力発電所が本格稼働していない間に採掘された15万8,000トンはかなりの量で、保管方法によってはかなり危険な状況にあったのではないかと推測されます。
釧路コールマインは、釧路市民に15万8,000トンにものぼる大量の石炭をどこに保管しているのか、そしてその石炭をどのように保管しているのか詳細に説明し、発火、爆発などの危険がないことを釧路市民に説明する責務があります。